全英ゴルフ協会(R&A)はルール18-2,18-3,20-1(下記解説)について次のように修正することが決まりました。
規則18 「止まっている球が動かされた場合」
18-2 「プレーヤーやパートナー又はそのキャディや携帯品により」
18-3 「マッチプレーで相手またはそのキャディや携帯品により」
規則20 「球の拾い上げ、ドロップとプレース:誤所からのプレー」
20-1 「球の拾い上げとマーク」
修正前 パッティンググリーン上でアドレス後に球が動いた場合は1打罰となり、球はリプレースされなければならない。
修正後 球がパッティンググリーン上にある時、もし球又はボールマーカーが偶然にプレーヤーやパートナー又はそのキャディやその携帯品によって
動かされた時は 罰は無い。
但し、風や水又は自然の原因(例えばグリーンのへこみ)で球が動いた場合は球はあるがままの状態でプレー されなければならない。
(リプレースの必要は無い。−これに関しては修正前と同様ー)
解説 どのような時を偶然と言うか。
故意では無い。思わず等。例えば
・ボールマーカーを球の上に落して球が動いた。
・練習ストロークを球の近くで行っている時、不注意に球を動かした。
・球にアドレスした時、思いもかけず球に当たって動かしてしまった。
罰が付く故意に動かすとは。
・怒って球を打ったり、動かしてしまった。
・マークをせずに球を拾い上げた。等
この規則問題は数年にかけて検討され続けている課題で4年に一度の修正時期を待たずに平成29年1月より改定することになった。
LPJA 伊藤園レディースゴルフトーナメントでの出来事(平成28年11月第2週目)
上原綾子プロ 合計68打のペナルティーとは
状況
伊藤園レディーストーナメント1日目。この日は前日の悪天候の為、フェアウェイなどの芝の短く刈った場所に球がある場合は
球を拾い上げ泥などを拭きとり同じ場所に戻して打てると言うローカルルールがあった。
上原綾子プロは「1クラブの長さ以内の範囲で置き直せる(アメリカのルール)」と勘違いした為、15ホール計19か所で誤って
処置をしてしまい、2日目に気が付いて申告した。アメリカで主戦場にしている彼女の痛い勘違いであった。
裁定
誤所からのプレーの2打罰×19回で38打の罰とスコアーの誤記による2打罰×15ホールで30打の罰で合計68打のペナルティー
を科された。
規則20 「球の拾い上げ、ドロップとプレース:誤所からのプレー」
規則20-7 C ストロークプレー
2打罰×19回で38打の罰と下記規則6-6d2打罰×15ホールで68罰打
競技者が誤所でストロークを行った場合、競技者は該当する規則に基づいて2打の罰を受ける。
誤所からのプレーの重大な違反でなかった場合は(注1参照)、競技者は誤りを訂正することなく、誤所からプレーされた球でその
ホールを終えなければならない。
注1. 誤所からのプレーの結果、競技者はかなりの利益を得ていると委員会が考えた場合、その競技者は該当する規則について
の重大な違反があったものとみなされる。
尚、規則6-6d (2016年ルール一部改定)(下記)により、競技失格とはならなかった。
罰打を受けている事を知らずにいた場合、競技者は競技失格(今まで)とはならず、その競技者が該当する
規則に規定されている罰と、その競技者が規則6-6dに違反をした各ホールに対し2打の追加の罰を受ける。
松森彩夏プロ 2打のペナルティーとは
状況
グリーンにパーオンした球をマークし拾い上げ、拭いてもらうためにキャディーの方に球を投げた。 キャディーは下を
向いてメモを取っている最中で頭に当たり、球はそのまま左サイドの池に入った。
キャディーは池の中を捜したが球は見つからず、止むを得ず球を取り替えプレーした。
裁定
規則15 「取り替えられた球:誤球」
規則15-1 プレーヤーはティ―インググランドからプレーした球でホールアウトしなければならない。ただし、球が紛失したり、
アウトオブバウンズとなった場合、球の取り替えが許されているかどうかにかかわらずプレーヤーが他の球に取り替えた
場合(規則15-2) は除く。
規則15-2により2打罰となるのは
規則上球を取り替えることが許されていないのにプレーヤーが球を取り替えた場合取り替えられた球は誤球ではなく、その球
はインプレーの球となる。誤りが規則20-6(下記注参照)の規定に従って訂正されずプレーヤーが間違って取り替えれた球を
ストロークしたときは、プレーヤーは該当する規則に基づいて、ストロークプレーでは2打の罰を受け、取り替えられた球でその
ホールを終えなければならない。
(注:規則20-6 間違って取り替えられたり、ドロップやプレースされた球の拾い上げ
間違って取り替えられたり、誤所に、または規則に反してドロップされたりプレースされた球は、それをプレーする
前であれば、罰なしに拾い上げることができる。その後で、プレーヤーは正しい処置をとらなければならない。)
もし、池から球を見つける事が出来き、その球でプレーを終えれば罰打はつかない。
鈴木愛プロ 1打のペナルティーとは
状況
9番のセカンドでその日のローカルルール(リフト&クリーン適用)に基づき球を拾い上げ、リプレースする前にリプレース
する所の芝を払ってから球を戻した。そのまま戻すとボールが動きそうだと言う理由からだった。
裁定
規則23「ルースインぺディメント」
規則23-1/8 (2016年度改定された規則)
「球を動かす原因となるかも知れないルースインぺディメントの取り除き;球をリプレースする前に取り除かれたルースインぺディメント」
認められない。以下の理由に依り1打のペナルティーが付く。
注釈
規則18「止まっている球が動かされた場合」 の規則18-2「プレーヤーやパートナー、またはそのキャディーや携帯品」に基づき
スルーザグリーンでルースインぺディメントを取り除いた結果、プレーヤーが球を動かす原因となった場合は1打の罰を受ける。
もし、動かされた、または拾い上げられた球が動かされた、または拾い上げられた箇所にリプレースする前に、取り除くと球を動かす
原因となったかも知れないルースインぺディメントを取り除くことが認められるとすると、この規則の規定を逃れることになる。
なので、公正の理念に従って(規則1-4)、プレーヤーは1打の罰を受けるべきである。
そのような状況で、プレーヤーがルースインぺディメントを取り除きたいと思う場合、球を拾い上げる前か、動かされた、あるいは
拾い上げられた球をリプレースした後にそうするべきである。
プレーヤーの球がルースインぺディメントを取り除いた結果、動いた場合、プレーヤーは規則18-2に基づいて1打の罰を受け、球を
リプレースしなければならない。
この裁定は、規則20-3C(プレースやリプレースする箇所を確定できない場合)に基づいて球をドロップすることによって処置を
しなければならない場合には適用しない。なぜなら、その球をリプレースする箇所を決定することができないからである。
その状況では、裁定23-1/6(ドロップする前に付近のルースインぺディメントを取り除く)が適用となり、プレーヤーは球のあった
箇所にできるだけ近い所にドロップすることになる区域からどのようなルースインぺディメントでも取り除くことが認められる。